近年、技術の進化により「3Dプリンターで家を建てる」という、まるで未来のような建築方法が現実になりつつあります。
この記事では、3Dプリンター住宅の価格や、導入にあたってのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。3Dプリンターの家に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
本当に3Dプリンターで家が建てられるの?
ひと昔前までは、3Dプリンターといえば模型や部品などの小さなものを作る機械という印象が強かったかもしれません。でも今では、そのスケールがぐんと広がり、実際に人が暮らせる住宅まで作れるようになっています。
近年では、建築用の大型3Dプリンターでコンクリートを一層ずつ積み上げ、壁や構造体を自動で造る方法が登場しています。日本でも、なんとわずか24時間で完成するモデルハウスが実現し、低コストかつ短期間の施工が注目されています。
3Dプリンターの家、価格はどのくらい?
気になる3Dプリンター住宅の価格ですが、安い家だとおおよそ300万〜500万円前後から建てられると言われています。これは、一般的な一戸建てと比べてもかなりリーズナブルな価格帯です。
コストを抑えられる理由は、資材の無駄が少ないことや、職人の作業が最小限で済むからです。とはいえ、水道・電気・内装といったインフラ部分は従来通りの工事が必要になるため、最終的な費用はもう少し上がるでしょう。
なぜ注目されている?3Dプリンター住宅のメリット
3Dプリンターの家が注目される理由には、以下のようなメリットがあります。
建設コストが安い
3Dプリンター住宅の最大のメリットは、建設コストの安さです。建築の人手が少なくて済むため、人件費が大幅に削減されます。さらに、必要な分だけ材料を使うので廃棄物も少なく、無駄が出にくいのも魅力です。
工期がとにかく短い
従来の家づくりでは完成まで数ヶ月かかるのが一般的ですが、3Dプリンターなら最短1〜2日で建設可能です。たとえば、セレンディクス社の「Sphere(スフィア)」というモデルは、24時間以内で完成したという実績があります。これは災害時の仮設住宅としても非常に有効です。
自由なデザインが可能
3Dプリンターはコンピュータ上の設計図をもとに造形するため、曲線や個性的なデザインも実現しやすいのが特徴です。自由度の高い空間設計が可能なので、オリジナリティあふれる住まいを求める方にもぴったりです。
環境にやさしい
3Dプリンターでの建築は必要な材料だけを使うため、廃棄物も最小限に済みます。さらに、リサイクル素材や自然素材(土など)だけを使った3D住宅の開発も進んでおり、持続可能な社会づくりに貢献する建築法として注目されています。
まだ課題も多い?3Dプリンター住宅のデメリット
3Dプリンターの家はメリットが多い一方で、普及に向けての課題も存在します。
法規制との調整が必要
3Dプリンターで家を建てるには、建築基準法などの法律をクリアしなければなりません。新しい技術ゆえに既存の法律と合わない部分も多く、個別に許可を取る必要があるケースも。法制度の整備は今後の大きな課題です。
材料に限りがある
現在の建築用3Dプリンターは主にセメント系の材料を使用していますが、すべての気候や条件に適応できるとは限りません。特に、日本のように地震が多い国では、耐震性の高い素材や構造の開発が不可欠です。
水道、ガスなどは別途工事が必要
3Dプリンターで建てた家にも、水道・電気・ガスといったライフラインは欠かせません。こうした設備工事は従来通り人の手が必要になるため、追加の費用や工期が発生します。そのため、「3Dプリンターだけで家がすべて完成する」というわけではなく、現時点では他の工法と組み合わせた“ハイブリッド型住宅”が主流となりそうです。
最後に
3Dプリンターで家を建てる技術は、まだ発展途上ではあるものの、確実に現実になりつつあります。今後の技術進化とともに、より身近な住まいの選択肢になることは間違いありません。もし興味がある方は、見学会や説明会に参加して、未来の住まいを体感してみるのもおすすめですよ。